司会:ありがとうございました。それでは先生方、何かご質問がございましたらお願いいたします。

太田:屋根はどうやって支えるんですか?

米澤:木の屋根を、300 mm径の板ガラス1枚1枚が構造となって、支えようと考えています。

太田:ありがとうございます。そうすると、割と、内力がこうビンビンに効いた(笑)。柔らかい建築というよりも。

米澤:そうなんですね。

太田:結構な緊張状態にある、

米澤:はい。

太田:そういう建築なんですね

米澤:そうですね。屋根の荷重とガラスの自重、ガラスの圧縮力とワイヤーの張力がバランスをとった緊張関係をつくりだし、絶妙でクリティカルな状態として成立させていと考えております。

太田:ガラスそのものの加工については、ねじれがあると穴のところにモーメントが加わって、割れが入るのではないかと思うのですが、その辺は何か、ガラスそのものにどういう曲げがかかるかなど考えましたか?

米澤:ガラスそのものの曲げに対する計算をしておりまして、ガラス厚を6 mmとし一列に対して290KNの張力をかけても十分な曲げ強度が成立するということを確認しております。それはあくまで理論上ですが。今回、実際の1/2のモデルをつくって検証してみました。施工面として引っ張った状態で接合するのがなかなか難しくて、少し張力が弱まっている箇所がでてしまっております。

太田:似たようなことをやってみた(笑)。よくわかります。

米澤:モデルとしてもクリティカルに成立させたかったのでワイヤーをギリギリまでほそく細くして、ロットの断面寸法をできる限り小さくしようとしたらワイヤーが切れたり、ロットが折れたりの繰り返しで、時間との戦いでここまで成立させるのがやっとでした。

太田:つまり、どちらを取るかということだと思うのです。例えばフライ・オットーのミュンヘンの競技場は確かプラスチックだったと思うのですが、あれをこのようにブロック状にして、確かテンションで吊ったことで、それだけ柔らかくなったと思うのですが、どちらのイメージが大事なのですか? こうビンビンな感じと、柔らかい感じと、今結構どちらの方向もあるんだなあと。

米澤:どちらかというと、吊るというよりかは、板ガラスの1枚1枚が連動して、それが構造体として成立するような状況を作りたいと考えておりますので、どちらかというとビンビンの方ですね。

太田:じゃあ、そこまで聞いて佐藤さんに回します(笑)。

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