日 時 : 2013年10月11日(金)18:00〜20:00
会 場 : AGC studio 2F セミナールーム
審査員 : 太田浩史 (建築家) 佐藤淳 (構造家) 平沼孝啓 (建築家) 相武弘明 (AGC)
提案者 : 岩瀬諒子 小松一平 杉山幸一郎
[プレゼンテーションが終わり、公開審査]
太田:全員そうなんですけれども、同じ材料使用されて、表現も結構近くてものすごく繊細な案を狙って出してくるんですけど、その繊細の意味が違うというか・・・光が揺れたり、風に揺れたりするだけが繊細ではないと思います。全然違う繊細さもあると思いますので、フレキシピリティを持って対応して頂きたいです。岩瀬さんに対するコメントですけど、他の2名にも同じで、豪快で、繊細ではないのではと思うのです。ガチガチのメタル建築で、風も吹かないその光も外光が期待出来ないとなると、みなさんが思っている繊細さと、随分離れてくる必要があると思います。とにかくアトラクションであって欲しいという事です。ですので、小松さんの、人が乗れるっていうのは良いと思います。製作寸法によりますが、僕は1800×900くらいかな。サブロクバンの大きさまでしか出来ないと聞いたので、小松さんの案はまずそこで成立しなくなってくる訳ですよね。みなさんの案は大幅に変更が予想されると思います。そこに対して、どれだけフレキシブルに対応して頂けるかということを御三方に聞いてみたいと思います。
小松:製作寸法は把握しているんですが、希望としてはこのぐらいの一枚で出来れば一番良いなと、出来ないのであれば、真ん中にジョイントを設けて接着剤か溶着などで透明に接着できればかなり曲線も綺麗にでるのかなというのは考えています。開口は詳細図に階段を三段ほど設けてまして、潜り込んでそこから上がるような形で考えております。
太田:階段は頭の先にあるから、階段の穴に引っかからないですか?
小松:それが難しければ、一部の壁面をガラスを取り除いて横から入るだとか、平面形状も小さいので、そこら辺は考える余地があると思います。
佐藤:中に入って立たなくても、腰掛けるだけでも、構築物の魅力は大いに伝わる気がします。
太田:トライ&エラーが多いので、どれだけそのトライ&エラーに対応できるかということをお聞きしたいです。もし、出来なかった場合にどれだけその柔軟に対応して頂けるのかということもお聞きしたです。
杉山:このモックアップつくる段階でも、ガラスエポキシでつくるなど、金具自体がガラスを通して見えてしまうので、ポリカみたいなものとか樹脂製の金具を検討したのですが、今の段階では、一応建築物としつくったので、ショールーム用にと限定した屋内のスペースでということであれば、違う素材での対応も考えられます。
岩瀬:私の案はユニットで出来ているものなので、そのユニットを開発することによって対応していこうかと思っています。1:1のスケールになった時に、実際の風圧でどれくらい揺れるのかものすごく心配で仕方がなくて、これからその実際の板厚をモックアップをつくりながら検討して、揺れなかった場合、今直線になっている下の部分にアールをつけてたり、ガラス厚を薄くして、もう少し動くようにするとか、勿論安全性という意味でも考えていく必要もありますので、ユニットの開発っていうのを真剣にモックアップをつくりながら検討していきたいです。
佐藤:固有周期などを計算されていて非常に勢力的ですごく好感が持てますが、少し気になったのは、固有周期4.7秒となっていますよね?相当ゆっくり揺れますけど、本当だと思いますか?
岩瀬:構造家の方と一緒に共同しているので、模型をつくっていく時に、どうしても実際の二分の一の板厚に合わせたガラスが手に入らなかったので、アクリルでつくっているんですけど、実際の強度など違ってくるので、お教え頂ければ幸いです。
佐藤:例えば、このモックアップにあてはめて計算してみたりするとよかったと思いますけどね。見てれば、揺れている周期分かるので。それから、岩瀬さんに限らず、材料の魅力をどのくらい感じてこれを提案されたかというのを伺いたいのです。ガラスを曲げてみたり割ってみたり、もしくはその他の材料と比べてみたり、何かバーナーで炙ってみたり、何かガラスっていう素材をどういう風に感じたか聞きたいです。
杉山:モックアップで使っている、レオフレックスの強度試験をショールーム来た時に見て、上に鉛またいな玉が落ちても全然割れないっていうのを見た時に、今までのガラスじゃなくて、これはアクリルなのか塩ビなのか何なんだという風に思って、ガラスの可能性があるとすれば、どんどん薄くして性能をつけて来たんですけれども、それとは違った方向で、今回でいうと建築の環境を取り入れる設備的な要素だとか、構造的な要素として働く事ができるんじゃないかって事にすごく可能性を感じてつくりました。
佐藤:実際ガラスをそのものって中々入手しづらいんですか?割ってみたり、加重をかけて曲げてみたりされましたか?
杉山:実は、これで3枚目なんです。一枚目は割ってしまって、いろいろ試しながらこう風を受けるとどうなるかとか扇風機でやったりとかして、最終的にこういうディティールに落ち着きました。
小松:今まで、ガラスというものは薄くて割れやすくて小さいイメージだったんですけど、段々大型化してきて、分厚くて割れにくくて、日射も制限出来て室内の環境も安定させられて万能な素材にガラスがガラスじゃなくなっているような、違う素材の方に近づいていっている印象を受けたんですけれども、今回提案してる科学強化ガラスはその方向とは少し違ったものになっているのかなっていうので魅力を感じまして、一度触ってみたいなと興味深い素材であるなと思いました。
佐藤:これは入手しづらいのですぐには入手出来ないです。一般的には0.5mmです。
小松:使っているのは0.85mmとか1.1mmとかです。
佐藤:そういう状態ですか、穴が開けられないというのを開けてみせようじゃないかっていうくらいくらいの勢いでも良いのでは、岩瀬さん補足で何かあればどうぞ。
岩瀬:ガラスっていうのが、固くてもろいというなんか両面性みたいなのがおもしろいなと思って、興味というかすごく素敵な素材だなと思ったことが一番大きいですね。実際、カーテンウォールとかでどんどんガラスの透明性が高まっている一方で、どんどん板厚が厚くなるというガラスらしさがどんどん失われているのではないかと思いました。
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